SUB 補助金・支援制度

AI導入に使える補助金|制度の選び方と要件

公開
2026-08-21
執筆
株式会社visum
読了目安
7分
AI導入に使える補助金|制度の選び方と要件

この記事でわかること

  • AI導入に使える制度はどれか
  • 制度ごとの向き不向き
  • 申請前に確認すべき事項

AI導入に使える補助金の第一候補はデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)です。2026年から対象が「AIを含むITツール」と明記されました。

ただし導入したいものがソフトウェアか設備かで、使うべき制度が変わります。設備中心なら省力化投資補助金が候補になります。

この記事では中小企業庁と各事務局の公式情報をもとに、制度ごとの向き不向きと、申請前に確認すべき事項を整理します。

本記事は2026年8月時点の公募要領および事務局の告知に基づきます。制度は改定されるため、申請前に公式サイトをご確認ください。

まず確認する4項目

導入したいものがソフトウェアか設備かで、使う制度が変わります。

# 確認項目 判断の基準
1 導入するのはソフトウェアか設備か ソフト中心ならデジタル化・AI導入補助金
2 業務プロセスに紐づいているか 汎用ツール単体では要件を満たさない
3 GビズIDプライムを取得済みか 未取得なら最優先で着手
4 交付決定前に発注していないか 発注済みだと全制度で対象外

制度ごとの向き不向き

AIツールが目的なら、デジタル化・AI導入補助金が筋です。

導入したいもの 候補となる制度
AIを含むITツール・ソフトウェア デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
IoT・ロボット等の汎用製品 省力化投資補助金(カタログ注文型)
個別の設備導入・システム構築 省力化投資補助金(一般型)
flowchart TD
    A[AI導入を検討] --> B{導入するのは}
    B -->|ソフトウェア・クラウドサービス| C[デジタル化・AI導入補助金]
    B -->|IoT・ロボット等の設備| D{カタログに<br/>あるか}
    B -->|設備とシステムを<br/>一体で導入| E[省力化投資補助金 一般型]
    D -->|ある| F[省力化投資補助金<br/>カタログ注文型]
    D -->|ない| E
    C --> G[IT導入支援事業者と共同申請]
    F --> H[販売事業者と共同申請]
    E --> I[公募回のスケジュールを確認]

補助率と補助上限額の比較

制度 補助率 補助額
デジタル化・AI導入補助金 通常枠 1/2以内、2/3以内※ 5万〜450万円
同 インボイス枠(対応類型) 3/4以内(小規模4/5以内)ほか 〜350万円
同 セキュリティ対策推進枠 小規模2/3以内・中小1/2以内 5万〜150万円
省力化投資補助金 カタログ注文型 1/2以下 500万〜1,000万円
省力化投資補助金 一般型 中小1/2(2/3)・小規模2/3 750万〜8,000万円

※通常枠の2/3は、令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である場合

補助額だけを見れば省力化投資補助金のほうが大きくなります。 ただし設備投資が主眼の制度なので、ソフトウェアだけを導入したい場合は要件を満たしにくくなります。

省力化投資補助金の一般型は、ハードとソフトを自由に組み合わせて事業全体を一体的に支援できる点が特徴です。設備とシステムをまとめて入れる計画なら、一般型が合う場合もあります。

なお省力化投資補助金の一般型は、補助対象者に特定非営利活動法人と社会福祉法人も含まれます。一般の中小企業だけが対象の制度ではありません。福祉事業者向けの整理は障害福祉のDXで扱っています。

申請時期の違いも大きい

制度によって申請できるタイミングが変わります。

制度 申請時期
デジタル化・AI導入補助金 締切回制(直近の確定締切は2026年8月25日17:00)
省力化投資補助金 カタログ注文型 随時(2027年3月末頃まで)
省力化投資補助金 一般型 公募回制(第8回は2026年10月中旬締切予定)

カタログ注文型だけが随時申請です。急ぎで導入したい場合はここが有利になります。一方、締切回制の制度は、次の締切に間に合わなければ数か月待つことになります。

申請の相手が違う

見落とされやすい違いです。

  • デジタル化・AI導入補助金:事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で申請
  • 省力化投資補助金カタログ注文型:販売事業者と共同で申請
  • 省力化投資補助金一般型:自社で事業計画を作成して申請

前2者は自社単独では申請できません。相手が見つからなければ手続きが始まらないので、制度を選んだ段階で相談先を確保してください。

なお、デジタル化・AI導入補助金のうち複数者連携枠のみ、この仕組みが異なります。

「AIを含むITツール」とは何を指すか

対象は「AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)」と中小企業庁が記載しています。

ただし通常枠には要件があります。申請するソフトウェアは、以下のうち1種類以上の業務プロセスを保有する必要があります。

  • 顧客対応・販売支援
  • 決済・債権債務・資金回収管理
  • 供給・在庫・物流
  • 会計・財務・経営
  • 総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務
  • その他業種固有のプロセス

そして汎用・自動化・分析ツールは「汎用プロセス」に分類され、単体では申請できません

汎用のチャットAIだけでは申請できない

この要件から導かれる結論です。「業務効率化のためにチャットAIを導入したい」という理由だけでは、通常枠の要件を満たしません。

会計処理や在庫管理、顧客対応といった特定の業務プロセスに組み込まれた形である必要があります。

たとえば、議事録作成の機能を持つグループウェアや、問い合わせ対応に組み込まれたチャットボットは業務プロセスに紐づきます。一方、汎用の対話AIを社員が各自で使う、という形では要件から外れます。

対象になるかは登録次第

個別の製品が対象になるかは、事務局へのITツール登録の有無で決まります。

対象となるITツールは事前に事務局の審査を受け、補助金サイトに公開されているものに限られます。製品名で「対象です」と書かれた記事を見かけても、鵜呑みにしないでください。

導入したい製品がある場合は、事務局のITツール検索で確認するか、IT導入支援事業者に問い合わせてください。

登録されていない製品でも、IT導入支援事業者が登録申請を行えば対象になる可能性はあります。ただし審査に時間がかかるため、直近の締切に間に合うとは限りません。

補助対象になる費用の範囲

通常枠では、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が対象です。加えて以下も含まれます。

  • 機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ
  • 導入コンサルティング・活用コンサルティング
  • 導入設定、マニュアル作成、導入研修
  • 保守サポート

導入研修やコンサルティング費が対象に含まれる点は重要です。ツールを買うだけでなく、社内で使えるようにするまでの費用が見られています。

AI導入では、ツールを契約したものの担当者しか使わない状態で止まることがよくあります。研修費を補助対象に含められる制度設計は、この点を織り込んだものと読めます。導入計画を立てる段階で、研修まで含めて見積もっておくと申請内容も組み立てやすくなります。

申請前に確認すべきこと

GビズIDプライムアカウントの取得から始めてください。

公式は「ID取得には一定の期間を要します」と案内しています。どの制度でも必要になるので、導入を検討し始めた時点で着手するのが確実です。

交付決定前の発注は全制度で対象外

制度を問わず共通する失敗です。交付決定を受ける前に発注・契約した費用は補助対象になりません。

見積の取得までは問題ありませんが、発注すると対象外になります。ベンダーとの商談が進んでいる場合ほど、この線引きを社内で共有しておいてください。

申請代行費は補助対象外

省力化投資補助金では、補助金の申請・報告に係る申請代行費が補助対象外と公式に明記されています。外部への依頼を検討している場合、その費用は自社負担になります。

ツールの選定が先、制度の選択は後

順序を間違えやすい箇所です。

補助金が使えるツールの中から選ぼうとすると、自社の課題に合わないものを導入することになりがちです。まず解決したい業務を決め、それに合うツールを選び、その上で使える制度を確認するという順序が安全です。

補助金は申請すれば必ず採択されるものでもありません。採択を前提にした投資計画は避け、自社の資金で実行できる範囲で計画してください。

また補助金は原則として後払いです。交付決定を受けても、費用は一度全額を自社で支払う必要があります。デジタル化・AI導入補助金の4次締切で申請した場合、交付決定日は2026年10月7日(予定)、事業実績報告期限は2027年3月31日17:00(予定)です。入金までの資金繰りを先に確認してください。

当社も中小企業として、また個人情報を扱う事業者として、こうした要件確認は導入検討の前提にしています。


参考

以下はすべて2026年8月21日に確認しました。制度は改定される場合があります。

CONSULTATION

自社で同じことができるか、無料で確認できます

株式会社visumは、自社の就労継続支援B型事業所ウェリットで実際にAIを運用しています。記事で触れた進め方が御社の業務に当てはまるかを、現状の作業内容をうかがったうえでお答えします。

無料相談を申し込む

オンライン30分/営業日2日以内に返信