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生成AIパスポートは社員に取らせるべきか

公開
2026-08-21
執筆
株式会社visum
読了目安
6分
生成AIパスポートは社員に取らせるべきか

この記事でわかること

  • 試験の形式と受験料
  • 団体受験の割引条件
  • 資格と研修どちらが先か

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が実施する資格試験です。受験料は11,000円(税込)、60分60問のオンライン試験で、受験資格に制限はありません

社員に取らせるべきかを検討している場合、判断材料になるのは費用だけではありません。団体受験の割引制度と、シラバスが毎年改訂される点です。

この記事ではGUGAの公式情報をもとに、試験の内容と企業として導入する際の判断材料を整理します。

本記事は2026年8月時点のGUGA公式サイトの記載に基づきます。試験制度は変更される場合があるため、申込前に公式サイトをご確認ください。

まず確認する4項目

企業として導入を検討する場合、確認すべきは以下です。

# 確認項目 内容
1 何人受験させるか 10名以上か、GUGA会員かで割引率が変わる
2 受験のタイミング 年間スケジュールが決まっている
3 シラバス改訂への対応 毎年2月を基本に改訂される
4 研修と資格のどちらが先か 目的によって順序が変わる

試験の基本情報

オンラインで受験する形式で、会場に行く必要はありません。

項目 内容
名称 生成AIパスポート試験
開催形式 オンライン(IBT方式)
試験時間 60分間
問題数 60問
出題方法 四肢択一式
受験資格 制限なし
受験費用 11,000円(税込)/学生は5,500円

IBT方式は、パソコンやスマートフォン、タブレットからインターネット経由で受験する形式です。

受験期間は年間で決まっている

GUGA公式サイトには、年3回の年間スケジュールが記載されています。

申込期間 受験期間
第1回 10月1日〜1月31日 2月1日〜2月29日
第2回 2月1日〜5月31日 6月1日〜6月30日
第3回 6月1日〜9月30日 10月1日〜10月31日

受験期間中であれば希望する時間に受験できます。ただし公式サイトには「年間スケジュールは今後変更となる可能性がございます」と明記されています。

開催回数について公式と異なる記載をしている解説記事も見かけますが、申込時点の公式情報を確認してください。

受験環境に条件がある

自宅で受験できますが、環境の条件が定められています。

  • 試験中、自分以外の人が入り込まない環境であること
  • 机上や周辺に、衛生用品など必要物以外を置かないこと(筆記具は禁止
  • カフェや公園など公共スペースでの受験は不可

デュアルディスプレイや複数モニターの使用も不可です。オフィスで受験させる場合、これらを満たせる個室が必要になります。

禁止事項が細かく定められている

不正防止のため、失格になる行為が公式に列挙されています。主なものを挙げます。

  • ブラウザ以外のアプリケーションを使用した場合
  • 試験ページ以外のWebページを閲覧した場合
  • 試験内容をメモした場合
  • 試験中の飲食、喫煙、会話、途中退席
  • 試験終了ボタンを押す前に画面を閉じた場合
  • 試験に関して知り得た情報を第三者に開示・漏えいした場合

社内で受験させる場合、これらを事前に共有しておかないと、うっかり失格になる可能性があります。とくに「試験終了ボタンを押す前に画面を閉じる」は起こりやすい失敗です。

なお試験結果は、受験期間の終了後1か月以内に会員ページで通知されます。受験直後に合否が分かるわけではありません。

企業として導入する場合の判断材料

団体受験の割引制度があります。

区分 条件 割引率
GUGA会員(一般個人会員を除く) 人数の下限なし 受験費用・公式テキストとも20%割引
非会員 10名以上から申し込み可能 受験費用・公式テキストとも10%割引

団体受験は申し込みと支払いを一括管理でき、請求書払いにも対応しています。社員が個別に申し込んで立替精算する手間がなくなります。

10名未満で受験させたい場合、非会員では団体受験が使えません。 少人数で継続的に受験させる計画があるなら、GUGA法人会員の検討余地があります。

公式テキストの費用も見込む

受験料以外にかかる費用があります。

出題範囲を網羅した公式テキストが販売されています。

  • 電子書籍版:1,782円(税込)
  • 製本版:1,980円(税込)

受験料と合わせると1名あたり約13,000円です。10名なら13万円程度の予算になります。団体受験の割引を適用すれば、この金額から10〜20%下がります。

なお公式テキストの購入も割引の対象です。受験費用だけでなくテキスト代にも割引が効く点は見落とされやすいところです。

学習ツールとして、GUGAのLINE公式アカウントで無料のクイズアプリも提供されています。公式テキストの内容をもとにした◯✕形式の出題で、通勤時間などに使えます。ただし本試験は四肢択一式で、出題方法は異なります。

資格は無期限、ただしシラバスは毎年変わる

合格者には合格証書とオープンバッジが発行され、一度取得した資格は無期限で利用できます。オープンバッジは国際技術標準規格に基づくデジタル証明書です。

一方でシラバスは毎年2月を基本として年1回以上改訂されます。生成AIの変化に対応するためです。

改訂のタイミングでは有資格者向けの資格更新テストが開催されます。30分30問、受験費用は6,600円(税込)で、学生は3,300円です。出題はシラバスの改訂内容が中心になります。

合格すると新しいオープンバッジが発行され、リテラシーを更新したことを証明できます。なおこのテストは通常の試験とは異なり、年3回の開催ではありません。

資格更新テストを受けなくても資格は無期限で有効です。 更新が義務ではない点は、企業として費用を見積もる際に重要になります。

出題内容は「使い方」より「リスク」

試験の位置づけは、GUGAの説明では「生成AIリスクを予防する資格試験」です。

コンテンツ生成の方法や事例に加えて、以下が範囲に含まれます。

  • 個人情報保護
  • 著作権侵害
  • 商用利用の可否

技術的な開発スキルを問う試験ではありません。 社内で生成AIを安全に使うためのリテラシーを揃える目的に合っています。

言い換えると、この資格は「生成AIを上手に使えること」ではなく「危ない使い方を避けられること」を示すものです。社内展開にあたって最初に揃えたいのがどちらなのかで、導入の判断が変わります。

資格と研修、どちらを先にすべきか

目的によって順序が変わります。

資格取得が向いているのは、社内のリテラシーの底上げと、その水準を対外的に示したい場合です。オープンバッジで学習歴を証明できるため、取引先への説明材料にもなります。

一方、自社の業務にどう組み込むかを決めたい場合、資格試験では解決しません。 試験範囲は一般的なリテラシーであり、自社固有の業務プロセスは扱われないためです。

「担当者しか生成AIを使っていない」という状態の解消を目的にするなら、資格より先に、どの業務で使うかを決める必要があります。生成AI比較で決められない理由と選ぶ順序で、その順序を扱っています。

資格取得だけでは業務が変わらない

よくある失敗のかたちがあります。全社員に資格を取らせたものの、業務の使われ方が変わらないというケースです。

資格試験は個人の知識を測るものであり、業務プロセスの設計は範囲外です。「何に使ってよいか」「どの情報は入力してはいけないか」を社内で決めていなければ、資格を持っていても実務では動けません。

順序としては、以下が現実的です。

  1. どの業務で使うかを決める
  2. 入力してよい情報の範囲を決める(社内ルール)
  3. 使うツールと契約プランを決める(情報の扱いを確認)
  4. その上でリテラシーの底上げとして資格を検討する

4から始めると、1〜3が空白のまま資格保有者だけが増えます。

費用対効果をどう見るか

10名で約13万円(割引前)の投資に対して、何を得たいのかを先に決めてください。

  • 社内のリテラシーを一定水準に揃えたい → 資格が合う
  • 対外的に安全性を示したい → オープンバッジが使える
  • 特定業務の効率を上げたい → 資格ではなく業務設計が必要

3つ目を目的にしている場合、資格試験は遠回りになります。

当社も個人情報を扱う事業者として、社内のリテラシー整備は運用上の前提にしています。


参考

以下はすべて2026年8月21日に確認しました。試験制度は変更される場合があります。